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2021年12月28日

株式会社NTTデータ経営研究所が地方移住とワーケーションに 関する意識調査を実施

画像は「地方移住後の就業に対する」意向について

株式会社NTTデータ経営研究所(東京都千代田区)は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(東京都品川区)が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に「地方移住とワーケーションに関する意識調査」を実施し、その結果を6日に発表しました。

同調査では、コロナ禍によって、職場への通勤を前提とせず、働く場所に捉われないテレワークなどのワークスタイルが注目を集める中、首都圏を中心とした都市圏に居住し、就業している人に対して、より都心から離れた郊外や地方への移住と移住後のワークスタイルに対する意識について調査しました。

また、働く場所に捉われないワークスタイルとして、観光地やリゾート地においてテレワークなどを活用して働き、同じ場所・地域で余暇を楽しむ「ワーケーション」に対する意識や実施意向・抵抗感などについても調査・分析しました。

これらの調査の結果、都市圏居住者の3割弱が地方移住に関心があり、うち半数程度は移住に向けて検討・準備を行っている点。移住先の選定にあたっては、出身地など、自身に縁のある地域であることよりも自然環境の豊かさや住宅費、利便性を重視している点。地方移住に関心がある層のうち、4割超が移住後もテレワークを活用し現在の勤務先で働き続けたいという点。ワーケーションは広く社会に認知されつつある一方で、実体験者は全体の約7%にとどまり、実施には依然として大きな障壁が存在する点。ワーケーションに関する知識の有無によってワーケーションに対する印象が異なる点。そして、ワーケーションに関する知識の有無によってワーケーション取得時の心理状態が異なる、という計6点が明らかになったといいます。

調査結果のまず1つ目である、都市圏居住者の3割弱が地方移住に関心があり、うち半数程度は移住に向けて検討・準備を行っているという点に関して。

現在都市圏に居住・就業している人(正社員を対象)のうち、地方移住(郊外を含む)に関心があるとした回答は、全体の3割弱(27.9%)に上ります。3割弱のうち、1割強(12.9%)はコロナ禍を機に地方移住に関心を持ったと回答しており、コロナ禍を機に地方移住に関心を持つ層が2倍弱に増加したと考えられます。地方移住に関心がある人のうち、約半数(47.6%)は移住に向けた検討・準備を行っていると回答しており、具体的な行動を開始しています。

また、移住先の選定にあたっては、出身地など、自身に縁のある地域であることよりも自然環境の豊かさや住宅費、利便性を重視しているということも明らかになりました。

地方移住に関心がある人のうち、移住先での生活にあたって重視する要素を聞くと、「生活インフラの利便性」「住宅費の安さ」に加え、「都心からのアクセス」を重視するとの回答が4割超となっており、地方に移住したい一方で、生活レベルを維持しつつ都心への交通については一定の利便性を保っておきたいという意図が見えます。

移住の候補地となる都道府県を3つまで挙げてもらったところ、一都三県(東京23区外、千葉県、埼玉県、神奈川県)のほか、長野県、静岡県、北海道を挙げる回答が1割超となっており、北海道を除けば、東京都心への(静岡県、長野県は新幹線での)通勤圏となる地域が多く挙げられました。

候補地を選んだ理由としては、「自然環境の豊かさ」が最多で回答者のほぼ半数が、次いで「現在の職場へ通勤可能であること」を3割が選定理由としているほか、「住宅費の安さ」も3割弱が選定理由としています。

一方で、「自身や家族の出身地等」という理由や、「過去に旅行等で訪れたことがある」といった、自身に縁のある地域であることを選定理由とした回答は2割程度であり、「自身の趣味を楽しめる」とした割合を下回っていました。

調査では、地方移住に関心がある層のうち、4割超が移住後もテレワークを活用し現在の勤務先で働き続けたいということもわかりました。

地方移住に関心がある人に対して、移住後の就業に対する意向を聞いたところ、「主にテレワークを行いながら現在の職場での勤務を続けたい」とする回答が最多の4割超(44.4%)となり、移住後はテレワークを前提としつつ、今の勤務先で働き続けたい意向を半数近くの回答者が有しているほか、「主に通勤しながら現在の職場での勤務を続けたい」「現在の勤務先において、移住先に近い事業所に異動して勤務を続けたい」を合わせると6割超の回答者が勤務先を変えずに地方移住をしたいと考えている結果となりました。

加えて、移住の検討にあたって事前に体験したいことについて聞いたところ、4割超が「先に移住し、就業している人への相談」に加えて「サテライトオフィス等、テレワーク勤務できる施設の確認・体験」を挙げており、移住先におけるテレワークでの就業を見越してその勤務環境の充実を確認したい意向がみえます。

一方で、移住後における中長期的なライフプランについては、「移住先の地域に永住したい」とする回答は2割強に留まっており、「移住先の住み心地により、他の地域に転居するか判断したい」「ライフステージが変化したら、他の地域に転居するか判断したい」で5割超を占めたことから、地方移住に関心を持ちつつも、必ずしも永住を前提とせず、今後の環境変化に応じて転居を検討したいと考えている層が大半となっているようです。

次に、ワーケーションは広く社会に認知されつつある一方で、実体験者は全体の約7%にとどまり、実施には依然として大きな障壁が存在するという点に関して。

ワーケーションに関する認知・経験について、「ニュースやテレビ等で“ワーケーション”という言葉を見聞きしたことがない」という回答は全体の約14%にとどまり、ワーケーションが広く社会で認知されつつあることが示唆されました。一方で、実際にワーケーションを経験した回答者は約7%にとどまり、ワーケーションの実施には依然として大きな障壁が存在すると考えられます。

また、ワーケーションに関する知識の有無によってワーケーションに対する印象が異なるようです。

同調査では、ワーケーションは広く社会に認知されつつある一方で、不確かな知識に基づく個人の思い込みなどによって、偏った印象評価がなされていると仮定しています。

そこで、NTTデータ経営研究所は同調査では「ワーケーションの知識の有無によってワーケーションに対する印象が異なる」と仮定し、“ワーケーションという言葉を見聞きしたことが無い”および“ニュースやテレビ等でワーケーションという言葉を見聞きしたことはあるが、どのようなものかはよく知らない”を「知識無し群」、それ以外を「知識有り群」として、ワーケーションに関する知識の有無に基づくワーケーション印象の差異を評価しました。

その結果、複数のワーケーション印象において、知識の有無による有意差が認められました。具体的には、ワーケーションに関して他者に対して説明できる以上のレベルの知識・経験を有する人(知識有り群)は、そうでない人と比べて、ワーケーションに関してよりポジティブな印象を有しており、かつ、「ワーケーションは遊びである」等のネガティブ印象はより低いことが示されました。これらの結果はワーケーションに関する知識を消費者に正しく提供することで、ワーケーションに関する偏った印象評価を是正できる可能性を示唆しています。

また、ワーケーションに関する知識の有無によってワーケーション取得時の心理状態が異なるようです。

今後、ワーケーションは有給休暇と同様に、従業員のウェルビーイングや生産性を高める人事施策として広く普及することが期待されています。ワーケーションは業務を行うため休暇ではありませんが、リゾート地などで業務を行うことに対する後ろめたさや抵抗感といったネガティブ感情が従業員のワーケーション取得の障壁となることが予想されます。また、このネガティブ感情の程度は、ワーケーションに関する具体的な知識を持たない人の方が大きいと仮定できます。

そこで、同調査では「ワーケーションの知識の有無によってワーケーション取得時のネガティブ感情の強さが異なる」と仮定し、“ワーケーションという言葉を見聞きしたことが無い”および“ニュースやテレビ等でワーケーションという言葉を見聞きしたことはあるが、どのようなものかはよく知らない”を「知識無し群」、それ以外を「知識有り群」として、複数のワーケーション取得場面を想定したロールプレーイング調査(※自分自身がワーケーション取得申請をする場合、自分の部下がワーケーション取得申請を行ってきた場合等の4場面を設定)を実施し、各ワーケーション取得場面における心理状態を調査しています。

その結果、自分自身がワーケーション申請を行う場面(以下、各図の非管理職×Not繁忙期条件)を中心に、「おびえた」「うろたえた」「恐れた」「恥ずかしい」「イライラした」「ぴりぴりした」「苦悩した」「不平等である」「ねたましい」などのネガティブ感情が、知識有り群と比べて、知識無し群が有意に低いことが明らかになりました。一方で、「やる気がわいた」については、知識有り群が有意に高いことが示された。これらの結果は、ワーケーションに関する知識の有無が取得時の従業員の心理状態に影響を与えることを示唆しています。

こうした結果からNTTデータ経営研究所は、「地方移住に関しては、コロナ禍を機に関心は一層高まっているものの、そのニーズ・形態は多様化しており、毎日の通勤を前提とせず、テレワーク等を活用して今の職場で働き続けながら地方に移住したいと考える層が一定数存在することが明らかとなった。テレワーク推進に対する見直しの動きがある中で、企業も従業員の多様なワークスタイルのニーズに対応していく重要性が増していると考えられる」と総括しました。

株式会社NTTデータ経営研究所 調査結果の詳細

 

記者: 有限会社にいがた経済新聞社

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